「この曲を書いたことで、もっとファンキーでR&Bの音楽を作るという新たな方向性が広がった。僕のことをはなからアコースティックのシンガー・ソングライターだと決めつけられることが、それほどなくなったと思うしね。どういうレッテルを貼ったらいいかわからないくらいが、僕にはいいことなんだ(笑)」
アルバムには、ファレルと作ったダンサブルな曲に加え、最近ではアデルの大ヒットアルバムを手掛けた御大リック・ルービンによる、ありのままの音を生かしたアコースティック感たっぷりの曲、一緒にツアーをまわったスノウ・パトロールのメンバーと書いたメロディーの美しい歌もある。派手な曲は少ないが、どの曲も親密に語りかけてくるような優しさや安堵感にあふれ、何度も繰り返して聴きたくなるものばかりだ。
「1枚目のアルバムのタイトルは『+(プラス)』で、それまでのインディペンデントでの作品すべてにプラスするものという意味合いだった。この『X』では『+』でやったことを何倍にもするつもりさ。つまり、曲のアイデアからプロダクション、ファン、ライブ会場など、すべてをよりビッグにしたいんだよね」
それはすぐに実現するはずだ。これは早くも今年のベストアルバムに選びたい傑作である。(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)