中国の石油掘削施設=2014年7月16日現在、南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島【拡大】
ベトナム挑発の代償
中国がパラセルでの石油掘削施設を予定より約1カ月も前倒しして撤収したことには、対外強硬姿勢を続ける中国としては珍しく、「外圧」に配慮した、との見方が広がっている。
中国がパラセルで石油掘削施設を設置したのは5月2日。直前の4月末にはバラク・オバマ米大統領(52)がアジアを歴訪し、中国の対外拡張路線を牽制(けんせい)するため、日本とフィリピンとの軍事的連携の強化を確認していた。
米国との本格的な対立を避けたい中国は、日本とフィリピンに手を出しにくくなったため、あえてベトナムと対決を演じることで、国内に向けて「毅然(きぜん)とした対外姿勢」をアピールする狙いがあったとみられる。同時に、米国や東南アジア諸国の反応を試したい思惑もあったと指摘される。
しかし、中国はこの挑発行為で大きな代償を払った。ベトナム各地で反中デモが発生し、中国系工場が放火されるなどして流血の事態にもなった。ベトナムは国際世論の支持を取り付け、東南アジア諸国は対中不信を高めた。さらに、これまで中越の対立に中立的な態度を取ってきた米国がベトナム支持を明確化したことも、中国にとって大きな誤算だったといえる。