ブッシュ前政権で国務次官や国連大使を務めたジョン・ボルトン氏(65)は米紙ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿でこう指摘した。オバマ政権はロシアに「痛み」を与えたつもりになって、国家としての威信が経済面での損得勘定に勝るという肝心なことを忘れている。
米国はウクライナに限らず「停戦外交」にご執心だが、これは過去の不法行為を不問に付すことにほかならない。
クリミア半島がロシアに併合されたままでも停戦状態になれば「歓迎」、中国がパラセル(中国名・西沙)諸島の周辺海域から石油掘削施設を撤収しても「歓迎」。領土的野心を持つ国々にとってはこれほどありがたい話はない。
オバマ氏は(7月)22日、シアトルで演説し、ウクライナ、イラク、イスラエルなどの情勢を挙げて「人々が懸念しているのは、世界の古い秩序は続いていないが、まだ新しい秩序に至っていないという感覚だ」と語った。かつて「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じた」と述べて総辞職した日本の宰相がいたが、オバマ氏も同じような感覚で国際情勢を見ているのかもしれない。(ワシントン支局 加納宏幸(かのう・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)