雨期(12~7月頃)は乾期に比べて水面が10メートルも上昇するため、ジャングルは水浸しに。その奥へ手漕ぎカヌーで入っていくと、めくるめくアマゾンの世界が広がる=ブラジル・アマゾナス州マナウス(谷口京さん撮影)【拡大】
「動物の王国へようこそ。さっそくだけど、午後は地元に暮らすガイドと一緒にカヌーで散策に出かけるわよ」。フレンドリーなスタッフに迎えられ、手付かずの大自然に囲まれた時間が始まった。
≪目の前で展開するアマゾンの宇宙観≫
カヌーでジャングルの中へ入っていくと、様子が一変する。陽が射さず薄暗い空間では、絡まりあった樹々や蔦が上へ上へと伸びていく。朽ち果てて倒れた木からは新しい木が生え、そこにタランチュラがじっと動かずへばりつき、隣では真っ赤な花が咲き乱れている。
人間の手がいっさい加わらない自然の世界では、すべてのものがつながり、生と死が混ざり合い、輪廻(りんね)転生を繰り返しているよう。遠くからは、強い風が吹いているような音が聞こえてきて、嵐が近づいてきたのかと錯覚する。「あれはアカホエザルの鳴き声だよ」。地元ガイドが種明かしをしてくれた後も、その不思議な声は、別の世界から鳴り響いているような気がした。