留学は「自分の居場所」探しでもあった。だが今は、「居場所があるなしは、気にならなくなった」とソニンさん。稽古場で生き生きとポリーを演じる=2014年8月25日、東京都渋谷区(栗橋隆悦撮影)【拡大】
その結果、「情けない自分も許せるようになりましたね」。9年前の取材で「プライドが高い」と言っていた優等生のソニンが、一皮むけたようになっていた。
生きるための変化テンポ良く
「三文オペラ」の舞台となる19世紀、女王の戴冠式間近のロンドンも、生きるためには何でもありだったのだろう。乞食たちには縄張りがあり、総元締めはポリーの父ピーチャム(山路和弘)で「乞食の友商会」まである。街のヒーローは大泥棒メッキース。娼婦も夢中にさせるこの色男は、自分を愛するポリーや娼婦たちをいいように転がし、逃亡の旅にでる。一見、女性たちがメッキースに振り回される展開だが、実は逆。ポリーをはじめ女たちは、したたかに、ちゃっかりと状況を切り抜けていく。
「女性と男性を比べると、女性のほうが圧倒的に変化に適応するスピードが早いし、たくましい。生きていくために変わっていけるんです。それをすごく象徴しているのがポリー。その成長と切り替わりを、ポンポンとテンポの良い芝居で見せられたら」