「2001年宇宙の旅」で著名なSF作家のアーサー・C・クラーク氏は米航空宇宙局(NASA)の研究顧問なども務め、人工衛星や人工知能、携帯電話などのさまざまな発明を予言し、実現に導いてきた。
そうしたクラーク氏が予言していて、次の実現が大いに期待できるのが宇宙エレベーターではないだろうか。地上と宇宙ステーションをエレベーターでつなげば、ヒトやモノの輸送を安全かつ低コストで、しかも大量に行うことができる。特別な訓練を受けた宇宙飛行士でなくても宇宙に行ける。たとえ高齢者や体が不自由な人でもエレベーターに乗りさえすれば、安全に宇宙空間まで運んでくれるのだ。
宇宙エレベーターはほんの少し前まで単なる夢物語にすぎなかった。しかし、1991年に超強度カーボンナノチューブが発見されたことにより、地球の赤道上と宇宙空間を結ぶ「テザー(ケーブル)」と、移動する「クライマー」と呼ばれる昇降機の研究が本格化。民間団体の宇宙エレベーター協会(JSEA)によれば、「手の届く域に到達しつつある」のだという。