新聞部で活動する女子高生の恵美子(市川由衣)は、部室で先輩の洋(池松壮亮(そうすけ))から不意にキスを迫られる。「ただ女性の体に興味があっただけ。相手は誰でもよかった」とクールに言い放つ洋だが、恵美子にすればこれまでの生き方を180度変えてしまうほどの大事件。早くに父親を亡くした結果、母親に厳しく育てられ、親の愛など感じたことがなかった恵美子は、求められるままに洋と体を重ねるうちにだんだんと愛への関心を高め、自分が1人の女であることを強烈に意識していく。
女性の強さ再認識
「恵美子って、見ていてすごく痛い女性だなあ…」。脚本を読んだ市川の率直な感想だ。ただ、進学のため上京した洋の後を追いかけ、都内の花屋に就職するにいたった恵美子の積極的な行動に対しては、市川は「ピュアさゆえの痛さ」と肯定的にとらえており、今も30年前も隔てなく、女性の生きる力は男性に比べてはるかに強くたくましいものとの認識を強めた。実際、身近にいる働く女性たちの仕事へのアプローチをみても「ガツガツとアグレッシブに仕事をこなしていくのは女性の方」。市川自身も「仕事をするからには誰にも負けたくない」との思いで取り組んできたし、その姿勢が本作での初ヌード披露につながった。