iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の細胞の世界初の移植手術を終え、記者会見する理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代プロジェクトリーダー(左)ら=2014年9月12日、兵庫県神戸市中央区(共同)【拡大】
Q 今回はどんな手術だった
A 患者は「滲出型加齢黄斑変性」という目の難病を患っていました。光を受け取るのに重要な働きをする網膜が傷み、視野がゆがんだり、視力が落ちたりする病気です。理化学研究所などのチームは、患者の腕の皮膚細胞からiPS細胞を作り、網膜の細胞に成長させてシートをあらかじめ作っておきました。そして手術で網膜の異常部分を取り除き、そこにシートを移植しました。
Q 手術の目的は?
A 視野や視力が改善するか注目されますが、第一の目的は安全性の確認です。iPS細胞は、がんになりやすいのではないかという懸念があり、理化学研究所などの研究チームはがんを作るような異常が起きないか調べます。ほかの患者でも研究として手術を重ねる予定で、安全で効果があると確かめられれば、治療として普及する可能性があります。
Q iPS細胞で他の病気も治せるの
A 目の角膜の病気や、心不全、脊髄損傷によるまひなどを治す研究が進んでいますが、まだ動物実験の段階です。神経疾患のパーキンソン病については、京都大のチームが、15年にも人を対象にした研究を始める方針です。