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朝日新聞と仕事をする書き手はいなくなる  (3/3ページ)

2014.9.16 16:05

記者会見で頭を下げ謝罪する朝日新聞の木村伊量(ただかず)社長(中央)、杉浦信之取締役編集担当(右)ら=2014年9月11日、東京都中央区築地(川口良介撮影)

記者会見で頭を下げ謝罪する朝日新聞の木村伊量(ただかず)社長(中央)、杉浦信之取締役編集担当(右)ら=2014年9月11日、東京都中央区築地(川口良介撮影)【拡大】

  • 作家、元外務省主任分析官、佐藤優(まさる)氏(共同)

 同時に、今回の事件は別の観点からも深刻な問題をはらんでいる。この掲載見合わせに関する情報が、池上氏からでなく、朝日新聞側から漏れたとみられることだ。記者会見で、木村社長は「途中のこととはいえ、途中のやり取りが流れて」と述べているので、問題の所在はわかっているようだ。新聞や雑誌は編集権を持つ。認識や利害関係の違いから、著者と編集部の間で、さまざまなやりとりがなされることがある。それについては双方が同意しない限り外部に漏らさないというのがルールだ。そうでないと書き手は、編集部に秘密情報や率直な意見を伝えることができない。

 少し古い話になるが、2001年のことだ。田中真紀子外相の信用を失墜するために、一部の外務官僚は、首脳会談の公電(外務省が公務で用いる電報)を含むさまざまな秘密情報をリークした。秘密を守ることができない組織に、リスクを冒して機微に触れる情報を伝える人はいない。こういう稚拙な工作をしたために、外務省は国内外で信用を失った。

 池上事件で露呈したように編集サイドから、書き手との間で信頼関係に基づいて秘密裏に打ち合わせている事柄が外部に流出する状態では、朝日新聞と本気で仕事をする書き手がいなくなる。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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