国民福祉基金は石油輸出価格が一定額を超えた場合に蓄積される国家基金の一つで、年金基金の赤字を補填するのが本来の目的。これまでもインフラ整備の国家事業などに国民福祉基金から資金が投じられてきたが、制裁下の企業を救済する使途には批判的な声もある。9月初め時点の基金の残高は853億ドル(約9兆2700億円)だが、制裁対象となった企業や金融機関からの支援要請が殺到すれば、この基金の活用にも限界が出てくる。
「積み立て金」接収
年金制度をめぐっては今年、1967年以降に生まれた国民の積み立て年金が凍結されており、その措置が来年も延長されることになった。問題になっているのは、年金保険料の約3分の1を占める「積み立て部分」で、これは将来の自らの年金として自由な運用が認められていた。しかし、今年はこの積み立て部分が事実上接収される形で国家年金基金の赤字補填に振り向けられ、これが来年も継続されることが決まったのだ。