モーツァルトの協奏曲は第24番と第26番。若手の山田和樹が指揮する横浜シンフォニエッタが伴奏をしている。今年2月、山田と初めて共演したことがきっかけとなった。
「ベートーベンの『皇帝』を共演したのですが、意気投合し、山田さんの才能と人柄にぞっこんになりました。音楽に格調があります。背伸びしてよく見せようとせず、自然体でした。彼とならモーツァルトが演奏できるんじゃないかと、思ったのです」
第24番のカデンツァ(オーケストラなしで即興的に演奏する部分)は、中村と親しかった“モーツァルト弾き”リリー・クラウスの作曲したもの。第26番のカデンツァはあの新垣隆に作曲を依頼した。
「ひらめいてお頼みしました。性格が控えめな方です。モーツァルトの作品の一部であることの違和感がないように作られました。録音に来て、非常に感動し、参加させていただいてありがとうございました、とおっしゃっていました」