難曲、マズルカ集
これまで50枚以上のレコード・CDを録音しているが、ショパンのマズルカは初めて取り上げた。マズルカはショパンの故郷ポーランドにルーツを持つ舞曲。
「モーツァルトと一緒の録音でしたので、ショパンはマズルカしか考えられませんでした。マズルカはショパンの個人的な独り言のような作品です。マズルカを弾いていると、ショパンを身近に感じます。『4つのマズルカ作品68』(遺作)は、病気が進んで起き上がれない時に作曲されました。ショパンが残した最後の音楽です」と話す。
この秋もたくさんのコンサートでスケジュールが埋まっている。コンクールの審査員などで、若い音楽家の演奏に接することも多い。
「リストのソナタを弾ける人でもマズルカは弾けません。ショパンのエッセンスが凝縮した作品ですから、それを表現するにはイマジネーションが必要です。詩を歌うように、一つ一つの音に千の思いを込めなければいけません。演奏家というのは人の耳と心に音をさらして成長します。24時間練習しても演奏家にはなれません。コンサートの前は常に受験前の学生みたいな気持ちです。それがエネルギーになっています」(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS)