レーザープロジェクションを駆使した舞台、ウサギの耳をつけたシルクハットをかぶって歌う男性、ネオン管を配したドレスをまとって踊る女性-。一風変わった演出に戸惑いも覚えたが、それこそがマサダのオペラなのである。
「特別な場所で、これまで体験したことのないオペラで、この国の魅力を表現したかった」。イスラエル・オペラ責任者のハンナ・ミュニッツ氏が話す通り、オペラとコンテンポラリー・ダンスを融合した演出こそが、イスラエルらしさとなる。
マサダを最後に世界中に離散したユダヤ人が、建国を機に諸国の文化を持ち帰り、融合して生まれたのがイスラエルのコンテンポラリー・ダンスだからだ。
そのマサダで、イスラエルが誇る舞台芸術を駆使して演じられた椿姫だった。
それは世界唯一の特別なオペラとなり、真夜中の砂漠にいつまでもこだまする7500人もの観客の拍手が、その素晴らしさを物語っていた。(文:フリーライター 鈴木博美/撮影:写真家 佐藤良一(りょういち)/SANKEI EXPRESS)