70年を経てよみがえる
10月29日にオープンした新美術館は、新宿中村屋ビルの改装とともに3階に設置された。広さは約240平方メートル。特別展では、中村屋の収蔵品のほか、荻原の死後の17年から、故郷の安曇野市で作品を公開してきた「碌山美術館」(58年に財団法人化)から借りるなどして、彫刻、絵画、工芸、書など計約50点を展示している。
“近代彫刻の祖”と呼ばれた荻原や、セザンヌやゴッホから西洋絵画の技法をどんどん取り入れた“洋画の鬼才”中村らは、日本の近代美術を切り開こうとした先駆者だったが、「いまは以前より認知されにくくなっている。ぜひ、若い世代にも存在を知ってほしい」(太田美喜子学芸員)という。
染谷省三館長は、「当館は小規模な施設ではあるが、大新宿駅を控える立地特性を生かし、多くの人が集い、気軽に芸術に触れられる場、まさにサロンを目指したい」と話した。(原圭介/SANKEI EXPRESS)
【ガイド】
開館記念特別展「中村屋サロン-ここで生まれた、ここから生まれた」は、来年2月15日まで、中村屋サロン美術館(東京都新宿区新宿3の26の13、新宿中村屋ビル3階)。(電)03・5362・7508。