「自分を通して作曲家の思いを伝えられれば」と話した、バイオリニストの岡本誠司さん(本人提供)【拡大】
「子供の頃からバッハが好きでした。心にすっと入ってくるような感じがして、どう演奏すればうまく伝わるのか考えるようになりました。コンクールの課題曲は半分ぐらいがバッハでした。同時代の作品など日本でなかなか手に入りにくい楽譜もありました。素晴らしい審査員の方々ばかりで、純粋に音楽を見てくださいました。45分プログラムのセミ・ファイナルは初めて弾く曲ばかりできつかったのですが、本選は納得いく演奏ができました」
近年、研究、実践が進んだバロック音楽や古楽器の演奏法は、急速にモダン楽器の演奏法に取り入れられている。
「これからも演奏法は変わっていくと思います。バロック・バイオリンは指の乗せ方を1グラム変えただけ、ビブラートの量をほんの少し変えただけで音が変わってしまいます。発音の種類がモダンの何倍もあります。しかし、モダン楽器ならではの新たな可能性を打ち出すことができるかもしれないとも思っています」