政府はJA全中から地域農協への指導権を取り上げ、地域農協の創意工夫を引き出す改革を目指している。自民党の衆院選公約にも「議論を深め、着実に推進」と記していた。
衆院選大勝を受け、首相は5日の年頭の記者会見で「あらゆる改革を大きく前進させる1年にする」と強調。26日召集の通常国会を「改革断行国会」と命名した。その柱となる農協法改正案は今国会で提出、成立を目指している。
一方で、JA全中側は対決姿勢を強める。昨年11月に公表した自己改革案は地域農協への影響力を温存できる内容とした。佐賀県知事選で集票マシンとしての農協の底力を見せつけた万歳章(ばんざい・あきら)会長は「自らの組織改革を自らの手でやり遂げる」と語り、政権の“介入”を公然と拒否している。
自民党内では「首相は意地になっている。慎重になった方がいい」(幹部)との声もあるが、官邸側は「JA全中に“上納金”を召し上げられている地域の農協は改革に賛成だ」(首相周辺)と強気の姿勢を崩さない。