シリアと国境を接するトルコの町シュリュジュに設営されたクルド人の難民キャンプで、おもちゃの銃を手にする少年。玩具であればどこの国でも目にする光景だが、勢力拡大に行き詰まったイスラム国は少年兵を育成し、本物の銃を持たせようとしている=2014年11月13日(AP)【拡大】
さらに13年にオバマ米政権が地上戦はおろかシリア空爆さえ尻込みすると、いっそう増殖して「怪物」化。14年6月にはイラク第2の都市モスルを制圧して世界に衝撃を与えた。
インターネットの交流サイトで巧みな宣伝を行うとともに、英字機関誌「ダビク」を発行。欧米に暮らすイスラム系移民2世や3世の若者らに参戦を促し、シリアとイラクでは約80カ国から来た1万5000人以上が外国人戦闘員として活動中とされる。しかし、原油価格の下洛で密輸収入が激減する一方、14年8月から始った米国を中心とした有志連合の空爆で石油施設が破壊され、兵士も数千人が死亡。勢いはしぼんでいる。ジョン・ケリー米国務長官(71)も「ここ数カ月、イスラム国の勢力拡大は止まっており、新たな戦闘員獲得も困難に陥っている」と分析している。
子供の手も借りたいほど戦力維持が行き詰まり、今回の身代金要求事件には、新たなセンセーショナルを巻き起こして戦闘員のリクルート活動を強化する狙いもあるとみられる。(SANKEI EXPRESS)