【かざすンAR(視聴無料)】映画「ビッグ・アイズ」(ティム・バートン監督)。公開中(P2提供)。(C)Big_Eyes_SPV,LLC.All_Rights_Reserved.【拡大】
映像美は最低限に
そもそもティム・バートンはディズニースタジオでアニメーターとして働いていて才能を見いだされ映画界に転身した人物だ。「ビートルジュース」(1988年)や「シザーハンズ」(90年)の映像の美しさはアニメーターとしての手法をふんだんに取り入れた賜物(たまもの)。それが近々の作品は、「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)にしても、「チャーリーとチョコレート工場」(05年)にしても、大ヒットはしているが、内容よりも映像マジックにばかり目がいき、私なんかは苦手意識すら持っていた。
しかし今回の「ビッグ・アイズ」ではその手法が最低限に抑えられた。それは題材が絵画だからである。主役であるビッグ・アイズの絵よりティム・バートンの世界が印象的であったら映画として成立しない。だからティム・バートンの映像マジックは風景を中心に、いかに自然の中でその美しさを際立てるかにとどまった。それによる効果は、ビッグ・アイズを目立たせるのは勿論だが、亭主の描いたとされる凡庸な風景画がますます陳腐なものに見えてくる。