【かざすンAR(視聴無料)】映画「ビッグ・アイズ」(ティム・バートン監督)。公開中(P2提供)。(C)Big_Eyes_SPV,LLC.All_Rights_Reserved.【拡大】
人物描写のうまさ
役者も誰もが知っている大スターではなく、自力のあるエイミー・アダムス(40)とクリストフ・ヴァルツ(58)を起用して物語をより現実的にした。ティム・バートンの遊び心として、マーガレットの親友、ディーアンにクリステン・リッター(あの爆発的ヒットを飛ばした米テレビドラマ『ブレイキング・バッド』に登場するジェシー・ピンクマンのジャンキーの恋人の子)を起用し、ポップアート的な感じにしているあたりが憎い演出だ。
そして何より上手(うま)いのが、観客がウォルターに抱く印象の操作だ。最初はウォルターを実に胡散臭(うさんくさ)そうに見せ、観客は「マーガレット、こいつに騙(だま)されるな」と思い、ラブストーリーに入ると、観客に「あれは誤解だった」と思わせ、ウォルターが「ビッグ・アイズを描いたのは自分だ」と言い始めても、観客は「まぁ、生活のために仕方ないか」と理解を見せ、だがやがて「こいつやっぱり悪党だ」と憤慨し、最後には「馬鹿(ばか)だなあ、こいつ」と彼を憐れむ。