中国全人代が開幕し、会場の大型スクリーンに映し出された李克強首相=2015年3月5日、中国・首都北京市西城区の人民大会堂(共同)【拡大】
≪経済構造転換への改革実行が鍵≫
中国経済は安定成長への軟着陸ができるかどうかの歴史的な転換点を迎えている。
中国は1978年に改革・開放路線に転換し、経済成長を続けてきた。89年の天安門事件や97年のアジア通貨危機、2008年のリーマン・ショックの際には成長率が鈍化したものの、そのたびに経済はV字回復した。
だが今後、成長率が長期的に低下していくのは必至だ。成長の原動力だった輸出産業は労働者の賃金上昇で生産コストがかさみ、国際競争力が急速に落ちた。東南アジアなどへの生産移転が始まり「世界の工場」の地位が揺らいでいる。
北京市や上海市といった発展した大都市は成長の余地が狭まり、上海市は今年、ついに成長率目標を掲げることをやめた。一方、各地の地方政府はこれまでの過剰な建設投資がたたり債務が拡大している。環境問題も深刻で、野放図な経済活動の拡大は限界に達した。
習近平指導部は安定成長を実現するため、経済構造の転換を目指す。不動産投資への依存を減らし、規制緩和を通じたサービス業の振興による内需拡大や産業のハイテク化を進め、経済のさらなる対外開放にも取り組む戦略だ。安定成長に順調に移行するためには、こうした改革を着実に実行できるかどうかが鍵となる。(共同/SANKEI EXPRESS)