英下院(定数650)は30日、解散し、5月7日に迫った総選挙に向けた選挙戦が本格化した。世論調査では、二大政党制を担ってきた与党の保守党と野党の労働党は、いずれも単独過半数獲得が困難な情勢だ。一方、昨年9月、英国からの独立を問う住民投票を主導したスコットランド民族党(SNP)の大躍進が予測されるなど、英政界の不安定要因が増大している。
SNPの大躍進予測
「この数十年で最も予測が難しい選挙だ」。英BBC放送は30日、こう述べ、新下院が、どの政党も単独過半数の議席を獲得できない「ハング・パーラメント(中ぶらりんの議会)」になると伝え、英国では珍しい少数与党政権か連立政権が誕生することになるとの見方を示した。その場合、労働党との協力を示唆するSNPがキャスチングボートを握り、発言力を増す可能性が高いとみられている。
SNPは住民投票で敗れて以降は独立色を薄めているが、独立運動を率いたアレックス・サモンド前SNP党首(60)は、将来のスコットランド独立は「ほぼ不可避だ」と断言。英経済紙も、SNP-労働党主導の政府となった場合には1970年代の社会主義的政策を取るとして、財界が大変な不安を抱いていると報じた。