初会談で厳しく応酬した沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事(左)と菅義偉(すが・よしひで)官房長官=2015年10月5日午前、沖縄県那覇市内のホテル(共同)【拡大】
首相訪米前の政府事情
安倍首相は26日から訪米し、バラク・オバマ大統領(53)と会談する。首相は強固な日米同盟をアピールし、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺などで挑発を続ける中国や北朝鮮を牽制(けんせい)したい考えだ。
だが、昨年12月に知事に就任した翁長氏との会談が行われないままでは、米政府に辺野古移設が頓挫する危惧を抱かせる可能性がある。対米公約が国内事情でひっくり返されれば、安全保障上の欠陥を招きかねない。首脳会談を前に翁長氏と会談し、政府として関係修復に乗り出す姿勢を見せることは不可欠だった。4日の西普天間住宅地区(宜野湾市)の返還式に合わせて会談を設定したのはこうした事情によるところが大きい。
とはいえ、翁長氏は岩礁破砕許可の取り消しなどで移設を阻止する構えを崩していない。7月には埋め立て承認に関する有識者委員会の報告書が提出され、翁長氏が承認の撤回に踏み切れば対立は再び先鋭化する。7月に辺野古の埋め立て工事が始まれば、反対派の抗議活動は激しくなる。こうした事態を避けられるかどうかは、ひとえに菅、翁長両氏の協議の行方にかかっている。(SANKEI EXPRESS)