先日、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した是枝裕和監督の「そして父になる」が地上波で放映された。ごらんになった方も多いと思うが、病院で子供の取り違えにあった2組の親子を通じ、家族の絆を描いた作品だ。
一人息子が他人の子と判明したのは、6歳まで育てた後のこと。主人公の父はいったん、本来の子供を連れ戻して暮らし始めるが、6年間をともにした「わが子」への気持ちに気づく。親子をつなぐのは血縁か、過ごした時間か。映画が多くの人の心を打ち、「自分だったら」と考えさせられたのは、ほとんどの親子が両者をてんびんにかける必要がなかったからだろう。
映画は特殊な状況だが、現実にも、血縁関係のない親子が紡いでいる家族の絆がある。特別養子縁組という制度で子供を迎え入れた夫婦の家庭だ。
特別養子縁組とは、子供を授からなかった夫婦が家庭裁判所の審判を経て、親と一緒に生活できなくなった乳幼児と法律上の親子関係を結ぶもの。2013年度に成立した特別養子縁組は474件。ここ10年はおおむね300~400件台で推移している。