4月28日、オーストラリアのシドニーで、インドネシア政府に対して豪州人2人らの死刑執行を思い止まるよう求める集会に参加した人々。だが翌日、死刑は執行された=2015年(ロイター)【拡大】
同様にオーストラリアは自国に入ろうとした難民船を追い返さないよう求めた国際社会の要請を無視したことがあったが、それはアボット政権がその判断が国益にかなうと判断したためで、(死刑をめぐる判断は)ジョコ政権も同じなのだ」と反論した。死刑制度についても「適正な手続きによって作られた政策はどんなに完璧でないとしても、尊重されるべきである」として、インドネシアの立場を擁護した。
ともに脆弱な政治的基盤
意見が対立する中で、死刑制度を維持するシンガポール紙のストレーツ・タイムズは4月30日付(電子版)で、両首脳の置かれた立場を解説する識者の論評を掲載した。
論評は今回の死刑執行の責任はジョコ氏にあるとして「ジョコ氏が対応を誤ったのは彼が国内で政治的に弱いからだ。もっと強力であったならば、1年に最大60人を処刑する計画について国際的な意味合いをもう少し検討できたはずだろう。というのも、処刑される大半はインドネシア人でないのだから」と指摘。