一日中ほとんど動くことなく、一生の間にほんの数本の木を移動するだけのナマケモノ。高い木の上での暮らしに特化し、ほとんど地上に降りることがなくなったアカホエザル。互いの毛を絡ませて行列をなす毛虫。目が退化したのに、濁った川の中でも正確に魚を捕えるカワイルカ…。
アジアに住む私たちにとって、シカやクマなどの動物のイメージとはケタ違いのギャップがあり、そして動物番組でよく見かけるゾウやキリン、ライオンなどのスター級の動物とはひと味もふた味も違う。ユニークな生き物たちの楽園、それは世界最大の熱帯雨林、南米のアマゾンだ。5月のアニマルプラネットでは、アマゾンに関する番組が集中的に放送される。
圧倒的なスケール
南アメリカには見事なまでに独自路線を歩んでいる摩訶(まか)不思議な動物が多い。それもそのはず、アマゾンの生物は世界中の生物種の3分の1を占める巨大派閥なのだ。なんと、1本の木にすむアリの種類の数はイギリス全土のアリの数より多く、森の100平方メートル内に存在する植物の種類は、ヨーロッパ全体の植物の種類より多いという。アマゾン川は流域面積も流量も、河口の広さも、2位以下を大きく引き離す。土地も生物も並外れたスケールなのだ。