ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領は、過激派「イスラム国」(ISIL)の台頭を背景に、対ISIL、対ロシアの二正面作戦を避けるため、ロシアに対して融和的姿勢に出た。これに対して米国のオバマ政権は、あくまで二正面作戦を貫くという姿勢を鮮明にしていた。
しかし、ここに来て、それが腰砕けになり、米国はロシアに膝を屈することになってしまった。
<また、(ケリー氏は)シリアやイラクにおけるイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の掃討作戦に関し、ロシアは「暴力的過激主義に対する世界的な取り組みにおいて、非常に重要なパートナー」であると強調した。
シリアでは、未申告の軍事施設で猛毒のサリンやVXの関連物質が検出されていたことが今月になって判明し、米政府は懸念を強めている。シリア国内に化学兵器が存在し、イスラム国の手に渡れば、他国でのテロ活動に使われる恐れが出てくるからだ。
シリア内戦をめぐっては、和平仲介に当たる国連のデミストゥラ特使が6月末をめどに、シリア国内の諸勢力などとの個別協議を実施中だ。シリアの移行政府樹立に期待する米国は、ロシアがシリアのアサド政権を擁護する姿勢を転換することに期待している>(5月13日「産経ニュース」)