イエメンでは、もともと近代的な国家が成立していなかった。これまで保たれていた部族間と宗派間の均衡が崩れ、内乱が激化している。3月28日、イエメンのハディ大統領は、サウジアラビアの首都リヤドに移動し、事実上亡命した。政府軍の統制が崩れたことにより、アルカイダ系組織が活動を強化している。
革命防衛隊を極秘投入
<西側外交官らは、イエメンを拠点とする「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」が権力の空白に乗じて勢力を拡大していると警告する。米国務省高官は「われわれはイエメンの情勢を注視している。イエメンでは治安は全面崩壊し、AQAPはそれに乗じて、勢力を伸長させる可能性がある」と述べる。
イエメンでは、政府軍が機能不全に陥っているため、強力なスンニ派部族が結集し、シーア派系の武装組織「フーシ派」と戦っている。スンニ派部族の中には、以前からAQAPの支持基盤となり、AQAPとともに戦ったり、AQAPの行動に目をつぶったりしている勢力もある。AQAPの宣伝部門は、「多数のスンニ派イエメン人は、AQAPと意見の相違があるものの、フーシ派と戦うためにAQAPと共闘するだろう」と訴え、新たに戦闘員集めに乗り出す意向を明らかにしている>(3月27日「ウォールストリート・ジャーナル」日本語版)