24日夜に行われた第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の授賞式で、注目された女優賞には、「モン・ロワ(私の王様)」(仏)でスキーで大けがをした女性が、不誠実だが魅力のある恋人との関係に揺れながら人生を再構築していく姿を演じたフランスのエマニュエル・ベルコさん(47)と、「キャロル」(米英)で年上の女性にひかれていくデパートの販売員を演じた米国のルーニー・マーラさん(30)の2人が輝いた。
満場の拍手に包まれて授賞式の壇上に立ったベルコさんは「2人で女優賞を受賞できてよかった。1人で受け止めるには大きすぎる賞ですから」と切り出し、「人生は思いもしない夢をかなえることができるもの。今夜、私の人生は私が抱いてきた全ての夢を超えてしまいました」と喜びを語った。
男優賞は「ザ・メイジャー・オブ・ア・マン(マーケットの法則)」(仏)で、失業から抜け出そうとして精神的なジレンマに苦しむ50代の男性労働者を好演したフランスの個性派俳優、バンサン・ランドンさん(55)が受賞した。フランスのセザール賞に3回ノミネートされるなど、性格俳優として実力を知られるランドンさんだが、授賞式の壇上では「カンヌではなかなか賞をもらえないが、今年はフランスの映画が祝福されているらしい」と目頭を押さえながら言葉を詰まらし、感極まった表情をみせた。