秋葉原駅クリニック院長、大和田潔さん。診療と執筆で多忙な毎日だが、ランニングと水泳を欠かさない。「体が軽くなれば動くのが楽しくなる。運動をすれば気持ちも前向きになる」=2014年9月2日(塩塚夢撮影)【拡大】
先日ご紹介した、重篤な患者さんに寄り添う猫オスカーの本に、認知症の患者たちの様子が描かれています。それまでさまざまな教育や訓練を受けてきたり、家族と仲良く暮らしてきたりした人々の記憶や人格が、少しずつ失われていく悲しさやむなしさがつづられています。
病は、突然やってきます。たとえば脳卒中を起こすと、これまで何げなく過ごしていた暮らしが一変してしまいます。普通に歩いたり、食事をしたり、スポーツをしたりすることがままならなくなります。これまで自分でやってこれたことが難しくなるのです。
そういったことに思索をめぐらせてみましょう。これまで普通だと思っていたものが、どれほど貴重なものだったのかを自覚することができます。合併症が起きないように、追加するよりも節制して体をメンテナンスする。
それを先人たちは、「足るを知る」という言葉にしました。大切なものはすでに手にしていると考え、できるだけ長続きするように慈しむ。高価な何かを追い求めるよりも、体をメンテナンスしてシンプルに過ごすことこそが幸福感を生む。そういったことを教えてくれる良い教えです。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)