G7首脳会議の2日目の討議に臨む各国首脳ら=2015年6月8日、ドイツ・エルマウ(ロイター)【拡大】
G7が南シナ海における中国の行動にそろって反対姿勢を示したことは、習近平政権が近年、強引に進めてきた対外拡張路線そのものに「ノー」を突きつけたとも受け取れる。中国外交は1989年の天安門事件後に経済制裁を受けて以来、久しぶりに厳しい状況に直面したといえる。
しかし、中国政府は強気の姿勢を崩していない。その理由について共産党関係者は「サミットで南シナ海問題を提起したのは中国と対立する日米だけで、ほかの国々は遠く離れた場所で起きたことへの関心はほとんどなく、反対はポーズにすぎない可能性が高いからだ」と説明する。
欧州諸国は中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)のメンバーに加わっており、中国への投資や貿易の面で強く結びついている。共産党指導部は南シナ海で埋め立てを継続しても、経済制裁などの対抗措置で国際社会の足並みはそろわないと判断しているようだ。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS)