G7首脳会議の2日目の討議に臨む各国首脳ら=2015年6月8日、ドイツ・エルマウ(ロイター)【拡大】
≪ロシア冷静、EU切り崩し狙う≫
サミットで対ロシア制裁の延長が協議されたことについて、制裁の「無意味さ」を訴えてきたプーチン露政権は冷静に受け止めている。ロシアは今後も、ウクライナ問題などで米欧への強硬姿勢を維持しつつ、欧州連合(EU)内の親露的な国々との関係を深めることで、G7の影響力低下を図る思惑だ。
ドミトリイ・ペスコフ大統領報道官は8日、G7の制裁論議に「新味はない」とする一方、「参加国の間には微妙な差異がある」と指摘。「ロシアとの対話が必要だという国もある」とし、G7は一枚岩でないとの認識を示した。
EUは今夏、金融や資源分野を対象に発動した対露制裁について延長すべきかどうか判断する。決定は「全会一致」の原則でなされるため、ロシアはギリシャやイタリア、ハンガリーなど、制裁に懐疑的な国々の取り込みを狙っている。
半面、プーチン政権は、制裁によって対ウクライナ政策を変える必要はない-という強気の姿勢を崩していない。ウクライナ東部の紛争についても親露派勢力の軍事支援や派兵を否定しており、和平合意を履行する当事者でないとの立場だ。(モスクワ 遠藤良介/SANKEI EXPRESS)