研究者は気象、生物、健康、エネルギー、地理など幅広い分野から結集。気候変動が人の健康に及ぼす「間接的リスク」について世界で初めて具体的な研究結果として示した。
報告書では、洪水や干魃といった異常気象で途上国ではマラリアやコレラといった感染症が広がり、食料不足による栄養失調も深刻化すると指摘。さらに先進国などの都市部では、気候変動に加え、その原因である大気汚染の悪化により、屋外で運動やレジャーを楽しみ心を休める時間が奪われ、肥満に加え、ストレスが蓄積。心臓疾患や糖尿病、脳卒中などの疾病のほか、精神疾患のリスクが高まると強調。「気候変動による間接的リスクはこれまで極めて過小評価されてきたが、人類に与える影響は想像以上に大きい」と結論付けた。
「科学総動員」危機感あらわ
こうした健康被害を防ぐには、温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を削減するため、化石燃料からの脱却が急務と指摘。とりわけ中国とインドでのCO2削減が重要とし、放置すれば数百万人が命を落とすと訴えた。