昨年7月13日、ギリシャを訪問した中国の習近平国家主席。この3週間前には李克強首相もギリシャを訪れ、貿易・投資協定を締結して両国関係を強化した=2014年、ギリシャ・ロードス島(新華社=共同)【拡大】
ところが年初に誕生したチプラス政権が、前政権までの改革路線を見直すとしてピレウス港など重要施設の民営化を凍結。中国の戦略には「待った」がかけられていた。したたかなチプラス政権は2月、このピレウス港への中国海軍軍艦の寄港を認めて式典にも出席し、「中国からの投資を重視している」と表明。欧州連合(EU)との交渉を控え、「中国カード」をチラつかせる場面もあった。
ただ、緊縮財政に現実対処していかねばならなくなったチプラス政権は、「凍結措置を解除し、ピレウス港の株式67%をCOSCOに売却をせざるをえない状況」(中国関係筋)だ。
港湾・空港に揚陸艦も?
中国を起点に内陸と沿岸の2つのルートでインフラ建設を通じて欧州まで経済圏を構築する習指導部による「新シルクロード(一帯一路)構想」実現で、ピレウス港は物流拠点として重要な位置にある。COSCOからの出資に加え、中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の投融資も振り向けて港湾整備を手がける戦略なども検討するだろう。