TPP交渉でも主食用のコメの輸入量について、現行の輸入枠に加えて7万トンから8万トン程度の新たな輸入枠を設ける案が報じられている。
今の日米のコメの価格を比較すると日本のコメの方が安い。経済原則に従えば、コメの輸入枠をいくら拡大しても米国からコメが入ることはないだろう。それなのに無理を通して特別枠を作ろうとしている。
農協の約900万戸の組合員のうち農業を主業にしている農家は約36万戸。残りはサラリーマンが主業の兼業農家でその8割強は農産物の販売さえしていない農協貯金組合員。そんな農協が農政を主導した結果が今日の農業の凋落(ちょうらく)を招いた。いまでは主業農家の多くが農協離れを起こしている。
TPP交渉の基本は主業農家の利益になるかどうかだ。東京財団が2014年2月に発表した「ウルグアイラウンドと農業政策」と題した研究論文には「『聖域』に固執し本来の目標を見失うと結果的に不利なペナルティーを受けかねない」と記されている。政府にはその轍(てつ)を踏まないよう腰を据えた交渉を求めたい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)