IOCは世界第2位の財政力と、13億人超の巨大市場を選ぶのか、選手が求める競技環境を提供し、今後の立候補都市拡大につながる中央アジアの発展途上国を選ぶのか、ということだ。
リスク目をつぶる報告書
五輪の内情に詳しい関係者は投票前、「そりゃカネでしょ」とIOCの思惑を看破した。評価委員会の報告書は、人工雪やアルペンスキー会場造成に伴う環境破壊や人権問題といった北京のリスクに目をつぶり、アルマトイの問題を列挙した。報告書と最終演説を基準に投票するIOC委員が北京に傾くのは当然だ。
22年冬季五輪招致は、巨額の開催費への世論の反発からオスロなどの有力候補が撤退した。IOCは危機感を抱き、コスト削減が軸の中長期改革案「五輪アジェンダ2020」を採択した。
アルマトイの招致団を率いたマシモフ首相は、「小さな発展途上国でも五輪を開催できることを示す。アルマトイを選ぶことは、五輪アジェンダを現実たらしめる」と訴えた。バッハ会長も韓国紙への寄稿で「候補都市が無理に誘致合戦に参入せず、自分たちの状況に合う五輪を開催できるようにした」と語った。
だが、改革にはリスクが伴う。関係者が「10票はアルマトイに流れた」と評した最終演説も、IOCが自戒したはずの旧来の流れを変えられなかった。(クアラルンプール 川越一/SANKEI EXPRESS)