英国産のカッティングエッジな音楽で、2000年前後に複雑なリズムとアーバンなサウンドで人気を博したブロークンビーツが再注目されている。当時、ロンドンの西部に集まるミュージシャンの間で、自然発生したといわれるこのブロークンビーツ。今はなき伝説的なナイトクラブ「Plastic People」で行われていたパーティー、Co-opには、Hip Hop、ドラムンベース、ジャズ、民族音楽、ハウスといったさまざまなダンスミュージックをプレーするDJ兼プロデューサーが一堂に会していた。この交流が音楽の攪拌(かくはん)を推進し、異なるドラムパターンを持つ音楽のブレンドが、ブロークンビーツのカラフルでダンサブルなリズムを生み出したといわれている。
王道スタイル貫く
ブロークンビーツ誕生の過程にも関わった一人、ディーゴが4年ぶりにニューアルバム「The More Things Stay The Same」を発表した。曲ごとにボーカリストが交代し、アレンジの幅も広かった前作「A Wha’ Him Deh Pon?」に対し、新作は基本的に1人のボーカリストを起用し、統一感のあるサウンドが全編を貫いている。加えてプリンスにも通じるポップ感覚、ファレル・ウイリアムスやダフト・パンクまでが取り入れた「モダンブギー」とも呼ばれる現代的ディスコのエッセンスを内包するなど、随所に進化の形跡が見受けられる。