米音楽界の最高賞であるグラミー賞を獲得して以降、米ジャズ界だけでなく、今や世界中のジャズファンから熱い注目を集めているロバート・グラスパーがニューアルバムを発表した。普段彼が慣れ親しんだカバー曲を集めた作品だが、原曲が誰のものであるかということをウリにしたカバーアルバムではない。ジャズ部門ではなく、R&B部門でグラミー賞に輝いた彼が、久しぶりに取り組んだピアノトリオ編成での録音ということで、現在の彼のジャズに対する態度に当然のごとく関心が高まっている。
しかも、ジャズが最先端の音楽であった頃の精神を受け継ぎ、果敢なチャレンジを現代で続ける彼の動向は、ジャズの世界だけでなくポップスやロック、クラシックの関係者からの関心も高い。ヒップホップ界での活動を経て、レディオヘッドといったロックのビッグネームのカバーにもトライし、先日も東京芸術劇場で日本人指揮者、西本智実との共演でオーケストラを従えての日本公演を実現するなど、音楽のボーダーを軽々と超越するフットワークの良さには目を見張るものがある。