直径500メートルのパラボラアンテナ建設が続く中国・貴州省の工事現場。完成すれば数百億光年の距離にある場所も観測できるという=2015年11月26日(ロイター)【拡大】
観測精度の鍵を握るパラボラアンテナには、4450枚の三角形のパネルを張り付ける。現在この作業中で、11月下旬には、何らかのテストが実施された。中国は内容を公表していないが、機器動作などの確認が行われたとみられている。
光を集めて観測する「光学式望遠鏡」と違い、宇宙からの電磁波を観測する装置。FASTは世界最大とあって、天の川の天体をはじめ、さらに遠い数百億光年離れた距離から地球に届く電磁波も探知することができるとしている。
FAST計画の主任科学者、ナン・レンドン氏はデーリー・テレグラフなど欧米メディアに「雷雨の中でセミの鳴き声を聞き当てるようなもの」という例えを引き合いに、FASTの能力に自信をみせた。つまり、いろいろなノイズ(雑音)が入り交じる宇宙の電磁波を、全てクリアに聞き分けることができるというのだ。
中国天文学会の理事長、ウー・シャンピン氏もデーリー・テレグラフ紙などに「FASTは銀河系の外にいる知的生命体を探し出し、宇宙の起源を探るための助けになるだろう」と胸を張る。