「バレンタインに花と音楽を贈ろう」(J-WAVE提供)【拡大】
「まずはハイボール!」と屈託なく注文する若い女性。今では普通の光景だ。でも一昔前、ウイスキーは若い世代にほぼ無視されていた。それがハイボールとして新しいスタンダードになったのはきっと、ウイスキー文化を日本から絶対に消失させない、そんな強い意志を持った誰かの愚直なプロモーションが成し得た偉業だったと思う。ストレート、しかもロックでしか飲むことを許されなかった高級なウイスキーでさえハイボールにすることを良しとする、文字通り「割り切り」の良さが功を奏した。過去に拘泥しない潔さと途方もない愚直さ。
コンビニでも、ウイスキーの復権にも似た既視感あふれる光景に遭遇した。ズラッと棚に並んだ恵方巻だ。関東に暮らしている者にとって、節分の定番は間違いなく豆。しかし、そのポジションを恵方巻に譲ろうとしている。最初は「ふーん、そんなユニークなものがあるのね」くらいの塩対応をしていたが、年を追うごとに勢力を拡大する「節分=恵方巻き」に驚きを隠せなくなった。きっと、これも強力に推進力のある人物が粘り強くやってきた結果なのだろう。この世の新しい価値観はいつも、誰かの強い意志と推進力で生まれている。そういうことかもしれない。