レッドメインは現地報道陣に対し、具体的な役作りを説明している。「脚本をもらった後、まずはトランスジェンダーのコミュニティーに足を向け、体験談を聞かせてもらいました。この結果、トランスジェンダーとはこういうものだ-と一つにくくれるものではなく、人それぞれ違った体験をしているということに気づきました。次にリリーの回顧録や本作の原作小説を読み込み、僕自身の中に存在するリリー的な要素も見つけ出しました」。ホーキング博士に肉薄して栄えあるオスカー像を手にしたのだから、当座1年ぐらいはホッと一息…とはいかないところが、レッドメインがオスカー俳優たるゆえんなのかもしれない。
妻の慈悲深さ、見てほしい
ゲルダは最初こそ夫の“奇行”に戸惑うものの、少しずつ考えを理解し、献身的に支えていく-。すでに本作の企画に着手していた約7年前、フーパー監督が最も心を動かされた部分だった。「ゲルダの慈悲深さ、ゲルダが夫に注いだ無条件の愛を見てほしいと思いました。最終的に夫が身体的に女性となり、元夫になったとしても、依然として愛情が残っているんです」