ルーフ全開で颯爽と走る! 女性をときめかせる「フィアット500」(後編)

試乗インプレ
幌を全開にしたフィアット「500C」

 映画「ローマの休日」や人気アニメ「ルパン三世」でもおなじみのクルマと言えば、皆さんもあのキビキビと走るコンパクトカーをすぐに思い浮かべることだろう。そう、イタリアの自動車メーカー、フィアットの主力車「500」だ。現在発売されている3代目は2008年に日本に上陸し、今年1月に初のマイナーチェンジを施した。今回は500のソフトトップモデルに乗って、東京の街をルーフ全開で颯爽とドライブ。前編ではデザインやパワートレインに触れたが、後編ではキャンバストップがもたらすちょっぴり“刺激的”なカーライフを紹介する。(文・大竹信生 カメラ・瀧誠四郎)

運転できるチョロQ

 初代500はFR駆動だったが、2代目はRR、そして現行モデルはFFを採用している。足回りは(意外にも?)硬めで、路面の凹凸をダイレクトに拾う印象。ハンドリングは滑らかで、カーブを思い描いた通りに素直に曲がっていく。安定感も問題なし。コンパクトボディで機敏に走る姿になんとなくチョロQを重ねてしまう(ディスってないですよ!)。

 500Cは小柄ゆえに都内を運転していて全くストレスを感じさせないクルマだ。サイズは全長3570×全幅1625×全高1505ミリ。ホイールベースは2300ミリで車重は1050キロ。狭いうえに路駐が多い麻布十番の商店街や交通量の多い幹線道路でも、神経を使うことなく身軽にスイスイ。駐車も楽チン。Uターンも難なくこなすなど、非常に取り回しに優れている。

 「ルーフを開ける」というステキな選択肢

 さて、クルマに慣れてきたところでいよいよキャンバストップを開けてみる。500Cの最大の醍醐味だ。操作は簡単。天井のスイッチを長押しすると、まずはルーフトップのみ開く半開状態でストップ。もちろんルーフを途中で止めることも可能だ。スイッチをもう一度押すと、今度はリヤウインドーを畳みながら車体後部まで全開する。キャンバストップは、マツダのロードスターなどと違ってサイドフレームは残るが、それでもクローズ時と比べれば圧倒的な開放感を得られる。前、横、後ろにプラスして「上」の景色まで出現するのだ。青い空はもちろん、夜になれば星空だってエンジョイできる。今回のロケは4月上旬に行ったため、皇居周辺の桜並木が実にきれいだった(ただ、風が吹いたとたんに大量の花びらが車内に舞い込み、あわてて幌を閉める羽目に…。フィアット広報さん、もし車内にピンクの花びらが残っていたらゴメンナサイ)。

 ルーフ全開時は幌がトランク上部に折り重なるため「荷物の出し入れはできないのかな」なんて思ったが、なんと…トランクのハンドルをカチッと引くと、覆いかぶさっていた幌がウィーンと自動で半開ポジションまで戻り、トランクが開けられるようになるのだ。これは便利! 荷室は決して大きくないが、撮影で使用した三段脚立くらいなら積むことが可能。後席を倒せば積載量はかなりアップする。

 季節や天気こそ選ぶが、ルーフを開けるというオプションは、普段のドライブを楽しむ上でかなり大きな選択肢となる。幌を全開にすると、走行風を巻き込んで埃が入ったり髪型が崩れるなど面倒なこともあるが、外の音や空気に直接触れながらクルマ、運転手とロケーションが一体となって、いつもよりもっと贅沢にカーライフを楽しむことができるのだ。ルーフを再び閉めたときに「車内はこんなに暗かったのか!」とあまりのコントラストに強い違和感を覚えたが、普通のクルマならこれが当たり前の状態なのだ。車内がパッと明るくなるだけで、ウキウキと楽しい気分になれるのはオープントップの強みだ。

 街中で一目置かれる存在

 ただでさえ珍しい500のキャンバストップともなれば、あらかじめ予想していたとはいえ、街中でかなりの注目を集めることになる。周りのドライバーはもちろん、歩行者からもたくさんの視線が向けられた。銀座四丁目の交差点をキュイーンと右折する真っ赤な500Cは、相当目立っていたに違いない。例えばその辺でよく見かける「ミニ」だったら、みんなが振り返ってまで目で追うようなことはあまりないだろう。もちろん、見慣れているからだ。仕事でいろんなクルマを試乗しているが、ここまで注目されたのは発売直後のトヨタ・ミライ以来だ(あの時は停車中にスマホで写真を撮られたりした)。

 注目という意味で、500Cにはこれまでのクルマと圧倒的に違うことがひとつあった。女性からの反応だ。信号待ちをしていると、必ずといっていいほど道行く女性がこちらをじっと見てくる。一瞬「オレ?」と勘違いするが、彼女たちが興味を持っているのは99%クルマの方なのだ(残念!)。クルマを止めて撮影している時も、彼女たちは500Cに釘付けとなる。外観はもちろん、色使いがちょいと派手なインテリアまでなめまわすようにチェック。まさにモテモテ状態だ。クルマと女性はなかなか結び付かないかもしれないが、「デザインが可愛いければ、彼女たちだって自動車に強い興味を示すんだ」と驚かされた。おそらく500Cに『ときめき』を感じているんだろうなぁ。「このクルマ、欲しい!」と思った女性もいたはず。とにかく彼女たちの反応はとても印象的で新鮮だった。

 荒削りだけど…「個性」という魅力

 500Cは走行中の振動や変速ショックなど所々に粗さはあるが、最近のクルマには少ないこの“機械っぽさ”がツボにはまれば、じわじわとその魅力を感じ取ることができるはず。はっきり言って、筆者が17歳の時にイギリスの自動車教習所で運転していた小型車のローバー「メトロ」よりも荒削りだ。慣れるまでは「オイオイ、こいつ大丈夫か?」と心配になったが、コツさえつかめば、クルマと一体となってちょっぴり刺激的なドライブを味わえるのだ。

 日本車よりも強い個性があって、周りと被らないクルマに乗りたければ、500Cはチェックする価値のある一台だと思う。2人で乗るのはもちろん、家族がいればセカンドカーとしてちょうどいい。オシャレで可愛いクルマに乗りたい女性には特にオススメ。街中で目立つことを覚悟して乗る必要はあるが、ルーフを開けて直接肌身で感じる眼差しはなかなか気持ちのいいものだ。

 ちなみに皇居や迎賓館周辺など“それっぽい所”をグルグルと走ったが、どこかの国の王女様と出会うことはなかった。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)

■フィアット500C TwinAir Lounge(試乗車)

全長×全幅×全高:3570×1625×1505ミリ

ホイールベース:2300ミリ

車両総重量:1050キロ

エンジン:直列2気筒8バルブ マルチエア インタークーラー付ターボ

総排気量:875cc

タイヤサイズ:195/45R16

最高出力:63kW(85ps)/5500rpm

最大トルク:145Nm(14.8kgm)/1900rpm

トランスミッション:ATモード付5速シーケンシャル(デュアロジック)

最小回転半径:4.7メートル

燃費(JC08モード):24.0km/L

乗車定員:4名

車両本体価格:279万7200円(税込)