開業から半世紀を迎える東海道新幹線では、列車が原因となった死亡事故は今もゼロの記録が続く。ただ、高架橋や鉄橋などの構造物の耐用年数は70年程度とされており、耐久力の向上が大きな課題となっている。
そこで13年4月、10年間に及ぶ大規模な改修工事に乗り出した。総工費は約7300億円。国鉄時代には年に数回、半日運休し、レールを交換する「若返り工事」を行ったが、今回の改修は深夜から未明にかけて行う。
改修工事は東京-新大阪の515.4キロのうち、高架橋や鉄橋、トンネルの計約239キロが対象。高架橋は柱などを鋼板で覆うほか、枕木を増やして線路や路盤への負荷を軽くする。鉄橋は床下の結合部を補強、トンネルは山との間のわずかな隙間にモルタルを注入する。いずれも愛知県小牧市にあるJR東海の小牧研究施設で開発された工法で「コストだけでなく、耐久性、施工の安全性なども勘案して決めた」(同社)という。
14年度は横浜市内で高架橋の補強などが予定されている。大規模改修により、最低50年程度は延命できるという。リニア開業後も、東海道新幹線は日本の大動脈として走り続ける。(松村信仁)