「ヴォーリズ建築」どう残す 耐震性の確保課題、岐路に立つ大阪の建物 (5/5ページ)

2015.11.1 07:05

  • 大丸心斎橋店本館1階のエレベーターホール
  • 御堂筋からみた大丸心斎橋店本館=大阪市中央区
  • 復元されたダイビル本館の中央玄関に掲げられた彫刻=大阪市北区
  • 復元されたダイビル本館の1階部分
  • 復元された大阪取引所のエントランスホール
  • 現在の大阪取引所のエントランス(手前)と高層のオフィスビル(奧)=大阪市中央区


大丸心斎橋店本館1階の天井

大丸心斎橋店本館1階の天井【拡大】

 たとえば、阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)の建て替え(17年着工、24年完成)は大がかりだった。昭和4年から買い物客を迎えた阪急梅田駅からのコンコースは、アーチ形の天井にモザイク壁画やシャンデリアが有名だったが解体。それらの天井や装飾は百貨店13階のレストランで再利用されている。

 一方で、歴史的な建物をできる限り残した事例もある。大正14年に完成したオフィスビルのダイビル本館(同市北区)は平成25年に建て替えられたが、れんが壁や中央玄関、低層階の内装などが復元された。ネオ・ロマネスク様式の建物は中之島の風景に彩りを添えている。

 昭和10年建設の大阪証券取引所(現大阪取引所、同市中央区)は平成16年に建て替えられた。株取引の立会場があった部分は高層ビルとなったが、半円形に並んだ列柱やステンドグラスなどが特徴的なエントランスホールは復元され、経済の中心地としての面影をとどめている。

 橋爪特別教授は「大事なのは建物をただ残すのではなく、生かすこと。いろいろな時代の建物が同じ都市空間で活用されることで、歴史の重層性を感じさせ、大阪の魅力になる」と指摘している。

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