【試乗インプレ】冬のオープン走行は快適か ホンダ「S660」で検証してみた (4/5ページ)

 筆者は、このクルマを運転するにつれて、免許をとったばかりのころの気持ちが蘇ってきたのだ。自分の運転で、自分の行きたい場所に、自由に移動していく。クルマで初めて訪れた場所の景色、目的地に到着した時のなんとも言えない達成感、充実感。運転すればするほどクルマが体に馴染み、ドライバーである自分と一体となっていく感覚。そういう懐かしくも愛おしい気持ちが、蘇っていた。もっと運転していたい、ずっと運転していたいと思いながら家に着いた時、「これが自分のクルマなら、明日また乗れるのになぁ」自然とそう思っていた。つまり欲しくなっていたのだ。

 キャビンはタイトだし、メタボな筆者だと乗り込むのに難儀するが、いざ走り出してしまえば狭いとは感じなかった。内装の質感も高くないが、運転しているとそんなことはまったく気にならない。内装の質感なんて、走りの楽しさには関係ないからだ。200万円前後するクルマならもっと質感にこだわるべき、という意見もあろうが、そもそもそういうクルマではない。

 ワインディングをハイペースで駆け抜けても思ったとおり曲がってくれる軽快で素直な回頭性、シフトチェンジが気持ち良く決まる6速ギア、必要十分な出力でアクセル操作に反応し、一般道でもパワーを使いきる楽しさを味わえるエンジン特性。高速道路や急カーブでもしっかり踏ん張り、小さく軽いながらも安心感の高い高剛性ボディとサスペンションの組み合わせ。これらが高次元で結実し、人車一体感を生み、「クルマの運転って楽しいものだったんだ」という忘れていた感覚を呼び覚ます。そういう原始的な、走る楽しさの代金が200万円ということなのだ、と思った。これが高いと思うか、安いと思うかは、もちろん乗る人次第なのだが。

免許取りたての若いドライバーにこそ薦めたい