シートはもちろんローポジション。肩の上まで高さのあるバケットシートがきれいに体を包み込む。お尻から足のつま先にかけて路面と水平に近い状態なので、なんとなくフォーミュラーカーを運転している気分。ダッシュボードは直線を基調にしたデザインが印象的で、余計なものを一切省いたシンプルな美しさがある。デジタルとアナログを組み合わせたRC F専用メーターは、ドライバーの心をくすぐる光の演出やグラフィックを用いたインフォメーションが特徴的。上品で雰囲気たっぷりのコックピットに収まると、何かを期待せずにはいられなくなる。
RC Fは5リッターV8エンジンを搭載していることもあり、最大で3.5リッターV6を積むRCと比較してボンネットの膨らみが大きい。ほかにもデザインの違いを挙げると、RC Fのスピンドルグリルは下半分の末広がりがRCよりも狭い。個人的にRCのグリルはワイドすぎて締まりがないように見えるので、RC Fの“スリム版”は歓迎だ。グリルを狭めた両サイドには、ブレーキを冷却するエアインテークを設けている。前輪のすぐ後ろには熱気を放出し、整流効果もあるエアアウトレットを設置。細部まで計算された空力と各パーツが織りなすラインが実に見事なデザインを生み出している。自動格納式のリヤウイングは、時速80キロを超えるとグイッとせり上がる。ルームミラーにウイングが映り込むたびに、なんだかニヤリとしてしまった。鏡のようにキラリと輝く塗装も高級感に溢れている。このクルマを見て素直に「カッコいい」「雰囲気がある」と思う人は、けっこう多いのではないだろうか。
退屈なわけがない
クルマの性能や特徴が浮き彫りとなる高速ワインディングで、様々な走行モードを試す。「エコ」や「ノーマル」は基本的に中低速走行の多い市街地向き。本格的に走りを楽しむのなら「スポーツS+」モードだ。踏み込んだ時のレスポンスが圧倒的に違う。回転数を上げても萎えることのない伸び感。五感を刺激するV8サウンドと操作性。シフトレバーを「M」に入れれば、パドルシフトを使って8速MTで走ることも可能だ。ブレーキ性能も「初めて踏んだ時の衝撃は忘れられないだろう」と思うぐらい強烈に利く。どんなにスピードを上げても、限界までブレーキングを遅らせることが可能だ。