このクルマを試乗して率直に思ったことは、高性能スポーツクーペの魅力がたっぷり詰まっているということ。まず一番印象的だったのは、RC Fが「あえて走りに行きたくなるクルマ」だということだ。「楽しいクルマ」「いいクルマ」とは、とくに用事がなくても何かと口実を作ってドライブに行きたくなるクルマだと思っている。もちろん1人でも。そこが2+2シーターの魅力でもある。いま行く必要はまったくないのに、少しでも時間があれば、深夜にコンビニへ行きたくなってしまう。しかも、わざと遠回りして…。みなさんにも、こんな経験があるのではないだろうか。そう、ただクルマに乗りたいだけなのだ。個人的にはトヨタの86がそういうタイプだ。
魅力はこれだけではない。RC Fはハンドルを握るたびにドキドキするマシンだった。1年前にもサーキットでたっぷり乗ったが、まったく飽きがこないのだ。エンジンを始動するたびに、あの「ブウォン!!」という重低音に胸が高鳴る。日常生活で、クルマに乗るたびに気持ちが高ぶる経験なんて、そうそうないのではないか。いま、そんな気持ちにさせてくれるクルマはハッキリ言って少ないと思う(「1000万円もするんだからそのぐらい当たり前だろ!」と突っ込まれそうだが…)。
さらにすごいのは、運転をしていない時もすぐにRC Fのことを考えてしまうこと。簡単に言うと中毒性がある。乗っていなくても、自然とRC FのCMソングが頭の中でヘビロテする。そしてまた、乗りたくなるのだ。
普段使いではその性能を持て余すが、気が向けばサーキットで高速走行も楽しめる驚異的な動力性能を有している。公道では味わえない“非現実”を気軽にエンジョイすることができちゃうのだ。