スマートの4人乗りバージョン(フォーフォー)と同様、この2人乗り版スマート(フォーツー)のプラットフォームを共有して作られているために、新型トゥインゴもRRになったというわけである。
騒音、匂い、熱 RRで大丈夫?
試乗前はRRという機構に対する興味とともに、いくつかの懸念もあった。
何しろ後席の後ろ、つまりキャビンと一続きの場所にエンジンが載っているわけで、蓋がしてあるとは言え、エンジンノイズがうるさいのではないか、ガソリンや機械油の匂いが漏れてくるのではないか、熱が籠もるのではないか、などなど。
結論から言うと、それらはすべて杞憂に終わった。
まず騒音だが、これはフロントエンジンのクルマと変わらない程度のノイズしか聞こえてこない。頭の後ろからエンジン音が聞こえることにさえ慣れてしまえば、少なくとも前席ではまったく問題ないレベルだった。
エンジンルームから機械的な匂いが立ち上ることもなかったし、熱に関してもキャビンがだんだん暑くなるというようなこともなかった。
荷室はエンジンを密閉するネジ止めされた鉄板の上に厚めの遮音材が被せてあるだけだが、効果は十分で快適性に関してリアエンジンであることのデメリットは感じなかった。
ダイレクト感あるミッションの功罪
大阪城にほど近いディーラーから試乗車を借り出して、交通量の多い市内中心部を走り出す。
座面が高く、視点はちょうど背高軽ワゴンくらいの高さで見晴らしがいい。乗りこむときも普通に椅子に腰かける感覚で座れるから、どんな体格の人でも乗り降りしやすいはずだ。買い物など、短距離を移動して乗り降りを繰り返す使い方に最も適した設計になっている。
後ろから聞こえてくるエンジン音は、当連載初回で取り上げたミッドシップエンジンのホンダ・S660以来で、なかなか新鮮。
スペックの数値は馬力もトルクも排気量なりだが、実際に走らせてみると、最大トルクを2500回転という低速から発生するので、ゴー&ストップの多い市街地でパワー不足を感じることはない。
変速装置の6速EDCはデュアルクラッチトランスミッション(DCT)。DCTは、2組のクラッチで奇数段と偶数段のギアを交互に切り替えるマニュアルトランスミッションの一種だ。シフトレバーの操作に連動してクラッチが機械で制御されるためクラッチペダルがなく、「2ペダルマニュアル」などとも呼ばれる。ATのように変速を機械任せにすることもできる。DCTは前回取り上げた日産・GT-Rなどのハイパフォーマンス車に多く採用されるほか、フォルクスワーゲンやアウディなどの実用車でも採用されている変速装置だ。