NSUがVWグループに吸収されたのちロータリーエンジンから撤退したのに対し、マツダは独自で研究開発と改良を重ね生産を続けた。ロータリーエンジンは他の方式に比べて高性能を実現しやすいことから、日産、トヨタ、ダイムラーなどいくつかの自動車メーカーが研究開発に取り組んでいるが、1970年代以降、40年以上にわたり継続してロータリーエンジンを量産したのはマツダただ1社である。
と思っていたら、近年になって旧ソ連の国営自動車メーカーVAZ(ヴァース)もロータリーエンジンを搭載した車種を量産していたことがわかってきた。しかし、これらのエンジンはマツダやNSUなど西側メーカーの技術のリバースエンジニアリング(つまり高度なパクリ)で作られたもの。だから公にされず、長らく知られることがなかった。したがって独自技術とは言えない。
マツダではコスモスポーツ以後もファミリア、ルーチェ、カペラ、サバンナRX-7などに次々搭載、熱烈なファンを増やしつつ、看板技術として脈々と受け継いでいった。
世界の頂点を極めるも現在は…
市販車のみならず、モータースポーツでもロータリーエンジンは活躍。1991年、4ローターのレース専用エンジンR26Bを搭載した787Bが、ル・マン24時間レースで優勝。今日に至るまで、同レースを日本のメーカーが制したのも、ロータリーエンジン搭載車が優勝したのもこの時だけである。
フォード傘下で経営の苦しい時期にあっても、観音開き4ドアスポーツの意欲作RX-8に搭載するなど、技術の維持・継承を図ったが、2012年のRX-8生産終了以降、現在は搭載車種ゼロとなっている。
以上、かけ足でお送りしてきたが、一般見学者が入らないお昼休みの1時間で見て回るには垂涎モノの“誘惑”が多すぎて、とても時間が足りなかった。写真を撮るので精一杯で、案内してくださった広報担当の方にもろくにお話を聞く余裕もないくらい。とにかく見どころ満載の充実した博物館である。見学の際は今回と前回の見学記を参考に、あらかじめいくつかターゲットを絞って訪問することをおすすめする。