なぜ全区間をトンネルにしないのか
アクアトンネルは世界最長の海底道路トンネル、アクアブリッジは日本一長い橋梁だが、そもそもなぜ全区間を海底トンネルにしなかったのか-。その理由は、すべてトンネル化すると建設費用が2倍に膨れ上がってしまうからだという。コストを下げるためにも、橋梁で対応できる区間はブリッジ化し、羽田空港に発着する航空機の運航に支障が出る区間や大型船舶が激しく出入りするエリアは、海底トンネルを掘ったのだそうだ。
筆者は仕事などでアクアラインをときどき使用するが、話を聞いていると知らないことばかり。ガイドの興味深い説明に大人も子供も興味津々だ。中には各ポイントを回るたび、積極的に質問をするお父さんもいた。
世界最大規模の掘削機
一行はアクアトンネルを後にし、長い階段を上って地上に出た。海ほたるにそびえ立つ巨大なモニュメントは、トンネルの掘削に使用されたシールドマシン(掘削機)の先端部分に装着された「カッターフェイス」を復元したもの。重さ1個10キロのカッタービット(超合金で作られた爪)が1000個も取り付けてあり、これらをおろし金のように回転させながら泥水と一緒に土砂を掘削していく。シールドマシンの直径は14.14メートルあり、世界最大規模を誇る。トンネルの掘進に要した期間は24カ月だったそうだ。
ほかにも、道路パトロールカーや道路整備に使用するリフト車の試乗会、海上保安庁が保有する巡視船「はまなみ」(11トン、35メートル型)の船内見学会など、特殊な乗り物に触れる貴重な体験を楽しむことができた。探検を終えた参加者も「最初はちょっと怖かったけど楽しかった」と一様に笑顔だった。
NEXCO東日本は「サマーフェスティバルin海ほたる」を行う目的について、「高速道路に親しんでもらうと同時に、私たちの事業内容をぜひ知ってほしい」と語る。いつも何気に利用しているアクアラインの海底トンネルには、普段は見ることのできないたくさんの驚きと発見がつまっていた。