警告音で最適な運転を示唆
カーブを安全に曲がるため、内輪に適宜ブレーキをかけて自動で微調整するアジャイルハンドリングシステムを搭載。下り坂のカーブに速めのペースで突っ込んでも破綻なく曲がっていく。柔らかな仕立てのサスペンションにもかかわらず、ロールも抑えられている。前後両方に装備(四駆仕様は前のみ)されたスタビライザーは伊達ではない。
面白いのはアジャイルハンドリングシステムが作動しそうなタイミングで先に警告音が鳴るところ。正直言うとコレ、最初はピーピーと煩わしく感じたのだが、そのうちこの警告音が鳴らないような運転をしている自分に気がついた。十分に減速してからカーブに入るという最適な運転をクルマに教えてもらった格好だ。エコ走行をサジェストする機能を搭載したクルマが増えているが、安全運転に関するこうしたサジェストも、実際の運転を通して優良ドライバーを育成する意義ある試みかもしれない。
ライバル引き離すクルコンという贅沢
狭山日高インターから圏央道に入り、関越道を経由して東京・青山を目指す。さぁ、あとはもうクルマを返すだけ、と思ったが、試していない機能がもう一つあった。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)である。
ACCは後編で詳述する衝突防止システムであるホンダセンシングの一機能。ホンダセンシングの全10機能のうち、ACCはカタログでの紹介順6番目と脇役的な位置づけであまり目立たない。ACC自体は1980年代からある技術で特段新しくもないのだが、こと軽に限っては、かつてダイハツ・ムーヴがオプションで用意していたことがある程度で、非常に珍しい装備。現行国産車の搭載状況を見てみると、メーカーによって搭載車種の数(比率)にかなりばらつきがある(※添付の表参照)。
2008年、前身となった技術「ADA(アクティブ・ドライビング・アシスト)」を進化させたステレオカメラによる独自技術「アイサイト」で先行したスバル、2015年からホンダセンシング搭載車種を着実に増やしていったホンダの2社をマツダが追う展開。意外にもトヨタや、広告で「自動運転」を声高にアピールしている日産は遅れ気味、スズキ、三菱はようやくついていっている状況で、ダイハツに至っては現状ゼロ。
実は登録車であっても搭載車種が限られるなか、N-BOXの全車標準装備は画期的と言ってもいい。
高級車気分でらくちん巡行 しかも運転上手
ハンドルの右側スポークに装備されたボタンで、ACCをオンに。速度セットボタンで一旦現在速度に固定した後、上下調節ボタンで時速100キロにセットし直す。すると、もう本当に楽ちん。前車がスピードを落とせば、任意に設定した車間距離を保つように自動で減速、前車が車線変更して前方が空けば設定速度まで自動で加速してくれる。長距離移動では疲労感が全然違ってくるはずだし、高級車を運転しているようで気分もアガる。